肝斑は女性特有の症状で、目の周りをさけたほお骨の周辺や額、口のまわりなどに左右対称にシミが現れます。肝斑は、30~40歳代の多くの人に発生し、50歳代後半には消えるという特徴があります。出産後の女性やピルを服用している女性にも症状がみられることから、肝斑の発症には女性ホルモンが何らかの影響を与えているのではないかと考えられ、肝斑治療の研究が現在も進められています。肝斑治療にはいくつかの方法があります。
良く知られているのはトラネキサム酸を飲み薬として服用する方法です。トラネキサム酸はメラニンをつくり出すメラノサイトにはたらきかけ、色素沈着を抑制し、肝斑を改善する働きがあります。またトレチノインやハイドロキノンという塗り薬を使用する方法もあります。トレチノインの使用中は肌が炎症を起こしたり、皮がむけたりする症状が出ますが、出来てしまったメラニンを排出する治療の過程で欠かせないものなので、手で触ったりしないよう時間をかけて治療します。
また女性ホルモンのバランスを整える効果がある漢方薬の服用も並行して行われることがあります。漢方薬は一人一人の体質や体力に合わせて処方されるものですが、肝斑治療には加味逍遙散(カミショウヨウサン)や桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)が出されることが多いようです。肝斑の治療を受けている間は治療の効果を高め、新しく肝斑の発生を防ぐために、紫外線対策をしっかり行い、日に焼けないように気を付けることが重要です。